神社のルーツとは?

 「お寺と神社はどう違うの?」と問われれば、まずは、「お寺は仏教、神社は神道」と答えることが一般的かと思います。

 

日本の文献における「神道」の語の初出は、奈良時代成立の『日本書紀』で、次のように記されています。

 

「天皇、仏法を信じ、神道を尊ぶ」(用明天皇(在位585~587)即位前紀)

 

しかし、『日本書紀』以降、平安時代なかば頃まで、「神道」の語は文献にほとんど登場しません。

 

現在では「神社」を「じんじゃ」と読みますが、これは明治時代以降に定着した言葉で、それ以前にはヤシロ(社)・ミヤ(宮)の語が用いられてきました。

 

『古事記』『日本書紀』などをみると、「神社」は「かみのやしろ」「やしろ」、「神宮」は「かみのみや」「かむみや」などと読まれています。この中で神社の原型ををよく示唆する言葉が、やしろです。

 

日本民俗学の柳田国男氏は、「古い時代における神社は、ただ祭りの日に集まって神を祭るために、別置されていた霊場だった」と記しています。

 

時代を遡ると、神社は聖域にある巨岩や樹木に神霊を招いて神マツリが行われたと考えられています。これらが現在の神社の原型です。

 

なぜ、ヤシロやミヤが聖地になったのかといえば、そこが神の鎮まるところ、神霊の降臨するところであり、そしてまた、神が人間の穢れを浄化し、幸福を授けられるところと信じられ、社殿が設けられ、現在のような形になりました。