近年、納骨堂を建立し永代供養(永代祭祀)を行う神社が増えてきました。家族形態や生活洋式が多様化する中、神道式の永代供養を望む方が増えているようです。納骨堂での埋葬は、墓石に比べて建物の中にある為に、天候の悪い日でもお参りがしやすく、風や雨にさらされ汚れることがなく、手入れの負担がありません。
樹木葬とは、石塔の墓の代わりに樹木をシンボルとするお墓です。
日本で一般庶民が石塔の墓を持つのは、江戸時代の中期以降で、この頃に確立した寺院の檀家制度によっていわゆる「葬式仏教」の形体が成立し、徐々に墓石の建立が行われました。それが個人の墓から一家ごとの「先祖代々の墓」になっていくのは、第二次世界大戦以後です。
樹木葬は多くの場合、宗派を問いません。本来、日本人が埋葬をする場所は森や原野であり、樹木のある自然の中に埋葬する行為はある意味”先祖帰り”と言えるのかもしれません。
神道の基本は先祖崇拝と自然崇拝にあります。神社には必ず鎮守の森があり、森そのものを御神体として祀ることも少なくありません。この「鎮守」という言葉は、(魂を)鎮めて守るという意味ですから、この森はもともと先祖の魂を祀り、遺族を慰めるためにあると言えるのかもしれません。森の中を歩くことが癒しになり、樹木が芽生えたり生長していく様子が、魂の転生の象徴として捉えることができます。
樹木葬は現在、公共・民間を問わず続々と整備が進んでおり、急速な広がりを見せています。